VPNの速度が遅いときの対処法――快適に使うための5つの方法
VPN ONにすると急に重い、動画がカクつく――そんな悩みを5分で解決するための速度改善ステップを編集部の実測値つきで解説。サーバー選び・プロトコル・Wi-Fi帯まで切り分け方が分かります。
監修: VPN選び.jp 編集部
「VPNを入れたら、Webページの読み込みがワンテンポ遅れる」「動画が急にカクつき出した」――そういう相談は、編集部にも月に何度か届きます。VPNは仕組み上、まったく速度が落ちないということはありません。ただ、明らかに遅すぎる場合は、ほぼ確実に原因が特定できますし、5分くらいでスッと改善することも珍しくないです。
この記事は、まず「どのくらい遅くなるのが普通か」を整理したうえで、自分の環境を切り分けながら速度を取り戻すための手順をまとめたものです。手元のスマホとPCで、上から順番に試していけるように書きました。
VPN ONで「どのくらい遅くなる」のが普通か
最初に言ってしまうと、質の良い有料VPNなら、体感ベースで「あれ、ちょっと重い?」と感じる程度に収まることがほとんどです。実数値で見ても、編集部の検証環境(光回線・FTTH 1Gbps)では、
- VPN OFF: ダウンロード 380〜420Mbps
- VPN ON(同じ国・WireGuard系プロトコル): 220〜310Mbps
- VPN ON(地球の反対側・古いプロトコル): 25〜70Mbps
くらいの幅でした。動画視聴やSNS、Web会議は、200Mbpsもあれば十分すぎるので、近い国のサーバーにきちんと繋がっていれば、日常用途で困ることはまずありません。
逆に、「VPN ON で 10Mbps を切る」「ページが3秒以上開かない」「動画が頻繁にバッファリングする」――このあたりに当てはまったら、何かしらの設定や環境にひっかかっている可能性が高いです。次の節から、よくある原因と切り分け方を見ていきます。
遅さの正体は、だいたいこの5つに集約される
サイトによっては「原因は10個」「対処法15選」みたいに書いてあるんですが、実際に編集部で読者の問い合わせを掘り下げてみると、9割方は次の5つに行き着きます。
サーバーまでの物理的な距離
VPNはサーバーを経由して通信するので、選んだ国が遠いほどラウンドトリップ時間が伸びます。日本にいるのに米国・欧州サーバーを掴んでいる状態だと、応答だけで往復100〜250ミリ秒くらい余計にかかるイメージです。動画のロードはそれでも気にならないですが、Web会議やオンラインゲームでは顕著にラグになります。
特に意識せず使っている人ほど、アプリ起動時に前回のサーバーをそのまま継続接続してしまっているケースが多いです。
同じサーバーの混雑(時間帯と人気サーバー問題)
人気が集中するサーバー(米国・東京・ロンドンの代表的なロケーション)は、深夜や週末の動画視聴ピーク帯に詰まりやすいです。とくに大手VPNでも「日本サーバー1〜3番」みたいに番号が若いサーバーは混みやすいので、ためしに番号違いに切り替えるだけで体感速度が変わることがあります。
プロトコルが古い/重いまま
VPNには複数の通信プロトコルがあって、軽くて速いものと、堅牢だが重いものがあります。代表例だと、
- WireGuard、NordLynx、Lightway → 軽量・高速
- OpenVPN(UDP)→ バランス型
- OpenVPN(TCP)、L2TP/IPSec → 堅いが遅め
の順に体感が変わります。多くのVPNアプリは初期設定で軽量プロトコルになっていますが、「自動」「OpenVPN」のまま使っていると、本来出せる速度が出ないことがあります。
自分側の回線・Wi-Fi
意外と多いのが、そもそも自宅やオフィスのWi-Fi/回線が遅いまま、犯人をVPNだと思い込んでいるパターンです。2.4GHz帯のWi-Fiでつないでいたり、ルーターから離れていたり、午後8時以降にマンションの共用回線が詰まっていたり。VPNを切っても速度が出ないなら、犯人はVPNではなくこちら側です。
バックグラウンドの帯域食いアプリ
これも見落としがちで、たとえばクラウドストレージの自動同期(OneDrive、Dropbox、iCloud写真)、OSアップデートのダウンロード、ウイルス対策ソフトのフルスキャン、ゲームのアップデート、配信視聴のキャッシュ――こうしたバックグラウンド処理がVPN通信と帯域を奪い合っていて、見かけ上「VPNが遅い」になっていることがあります。
5分でできる速度改善ステップ
ここからは、上から順番に試していけば原因を切り分けつつ速度を取り戻せる手順です。難しい設定は出てこないので、スマホでも5分かかりません。
ステップ1:VPNをOFFにして本来の回線速度を測る
まずFast.comやSpeedtestなどの速度測定サイトで、VPN OFF の状態の速度を測ります。ここで既に遅いなら、VPNではなく回線側の問題です。「VPN ON のときと数値があまり変わらない」なら、ボトルネックは回線で、VPNはほとんど無罪と判定できます。
ちなみに編集部としては、自宅Wi-Fiの場合、まず5GHz帯(多くのルーターで xxx-A や xxx-5G という名前)に切り替えるのをおすすめしています。2.4GHz帯は電子レンジや古い家電と干渉して、それだけで実測が半分以下になることがあります。
ステップ2:もっとも近い国のサーバーに繋ぎ直す
VPNアプリのサーバーリストから、自分の物理的な所在地にもっとも近い国(日本にいるなら日本/韓国/台湾あたり)を選び直します。日本サーバーがすでに選ばれている場合は、「日本サーバー2」「日本サーバー3」のように番号違いを試してください。混雑しているサーバーから空いているサーバーへ移るだけで、体感が一気に変わることがあります。
ステップ3:プロトコルを軽量系に切り替える
VPNアプリの設定(多くの場合「プロトコル」「Protocol」「VPNプロトコル」という項目)を、「WireGuard」「NordLynx」「Lightway」など軽量系に変更します。古いiOS版だけ「OpenVPN」が初期値になっていることがあるので、ここはチェック必須です。
なお、軽量プロトコルでも暗号化強度は十分に高いので、「速いと安全性が下がるのでは」という心配は基本的に不要です。
ステップ4:Wi-Fi帯域を切り替えるか、有線にする
スマホはルーターの5GHz帯に、PCはできれば有線LANに切り替えます。スピード重視のシーン(オンライン会議、ゲーム配信、4K動画など)では、有線にした瞬間に「これが本来の速度か」と驚くことがあります。
ステップ5:バックグラウンド通信を一旦止める
クラウド同期アプリやアップデート系の通信を、計測のあいだだけ一時停止します。Windowsなら「設定 → ネットワーク → 従量制課金接続をON」にすると、システム全体のバックグラウンド通信が大幅に絞れます。Macは「Spotlight インデックス作成中」のときも重くなりがちなので、Activity Monitor で mds_stores の負荷を確認してみてください。
ここまでやって「VPN OFF のときの 50〜70% 程度」までは速度が回復していれば、ひとまず正常範囲です。
それでも速度が戻らないときの一段深い対処
ここから先は中級者向け、もしくはどうしても改善したい人向けの内容です。
スプリットトンネリングで重いアプリだけ外す
VPNアプリには「スプリットトンネリング」という機能があり、特定のアプリだけVPNを通さずに通信させることができます。たとえば、
- ブラウザはVPN経由(プライバシー優先)
- 動画配信アプリ(YouTube/Netflix)はVPNを通さない(速度優先)
といった使い分けが可能です。NordVPN・Surfshark・ExpressVPNなど主要VPNはどれも対応しています(iPhone版だけ非対応のサービスもあるので、設定画面で「Split Tunneling」「分割トンネル」を探してみてください)。
ルーターとモデムの再起動/DNS切り替え
意外と効くのがルーター・モデムの電源リセットです。何ヶ月も入れっぱなしのルーターは、内部のセッションテーブルが古くなって遅延の原因になることがあります。電源を抜いて30秒置いてから再投入するだけで、家庭内通信全体が軽くなるケースが多いです。
DNSも、ISP標準のものが詰まりがちな時間帯があります。1.1.1.1(Cloudflare)や 8.8.8.8(Google)に変更すると、ページの初動が体感で速くなります。
MTU/MSSの調整(パケットサイズの最適化)
専門寄りな話になりますが、VPNはトンネル内にパケットを包むぶん、サイズの上限(MTU)が物理回線より少し小さくなります。Windowsだと netsh interface ipv4 show subinterfaces で確認、netsh interface ipv4 set subinterface "VPNアダプタ名" mtu=1400 store=persistent のように調整できます。1400〜1450あたりが無難な値です。
ただし、ここまで触ってもピンとこなければ無理に弄らなくて大丈夫です。ステップ1〜5でほぼ解決します。
「使うときだけON」が速度問題を遠回りにすることもある
これは編集部としてしばしばお伝えしている考え方なんですが、「速度が気になるから普段はVPNを切っておく」というスタンスは、結局のところセキュリティ面で穴になります。詳しくは「使うときだけON」では守れない理由とVPNは常時ONにすべき?つけっぱなしのメリットで書いていますが、要は、ONにし忘れる瞬間がいちばん危ない、ということです。
なので、速度問題を解決する方向としては「使い分け(スプリットトンネリング)」のほうが筋がいいと、編集部では考えています。
それでも遅いなら、VPN自体を見直したほうが早いことも
ここまで全部試して、それでも体感がイマイチなら、その VPN がもう自分の使い方に合っていないという可能性があります。無料VPNだとサーバーが極端に混んでいたり、帯域に上限がかかっていたりして、設定でどうこうできる範囲を超えていることが多いです(参考: 無料VPNは危険?有料VPNを選ぶべき理由)。
選び直すときは、
- WireGuard系の独自プロトコルを持っているか
- 日本サーバーが複数あるか
- スプリットトンネリングに対応しているか
- 30日返金保証があるか(速度は実環境で試さないと分からない)
このあたりを基準にすると外しにくいです。詳しくはVPNの選び方5つのポイントとVPNランキングも参考にしてみてください。
VPNが遅いときの5分速度改善ステップ 所要時間の目安:約5分
-
1
VPNをOFFにして本来の回線速度を測る
Fast.com や Speedtest で VPN OFF の速度を確認。VPN ON とほぼ変わらないなら、ボトルネックは回線側でVPNはほぼ無罪です。
-
2
もっとも近い国のサーバーに繋ぎ直す
日本にいるなら日本/韓国/台湾を選択。日本サーバーが選ばれているなら、番号違いを試して空いているサーバーに切り替えます。
-
3
プロトコルを WireGuard 系に切り替える
VPNアプリの「プロトコル」設定を WireGuard・NordLynx・Lightway などの軽量系に変更。安全性は十分なまま速度が上がります。
-
4
Wi-Fi を 5GHz 帯か有線接続に切り替える
スマホはルーターの5GHz帯に、PCはできれば有線LANに接続。2.4GHz帯の干渉が消えるだけで実測が大きく改善します。
-
5
バックグラウンドの帯域食いアプリを止める
クラウド同期、OSアップデート、ウイルススキャンなどを一時停止。Windowsは「従量制課金接続ON」で一括抑制できます。
よくある質問
- Q VPNを入れると、速度はどれくらい落ちるのが普通ですか? ▼
- Q プロトコルを WireGuard 系に変えると、安全性は下がりませんか? ▼
- Q 無料VPNが極端に遅いのはなぜですか? ▼
- Q iPhone と Android で対処法は違いますか? ▼
- Q 速度を最優先で選ぶならどのVPNですか? ▼